オープンキャンパスが行われました。
見学に来た高校生や保護者の方々にマイクロ波・ミリ波応用について、パワーポイントを使って、頑張って説明しています。
今年もスペアナとコードレス電話を使って、簡単な実験により、身近な電波とその性質を説明しています。
日別: 2016年6月20日
電子情報通信学会マイクロ波研究会(2015/06/25)
川崎市産業振興財団で開催された電子情報通信学会6月マイクロ波研究会にて、M1 磯部君が「遮断円筒導波管法による高誘電率YSZ結晶性材料の複素誘電率測定」と題して、研究成果の発表を行いました。
磯部君は、6月電気学会研究会での発表に引き続き、2回目の発表です。
すでに前回の発展版の発表ですので、安定した発表が出来ていました。
研究概要
本研究室では、電磁波に関する研究と教育を行っています。電磁波(Electromagnetic Wave)は単に「電波」とも呼ばれ、テレビや携帯電話、電子レンジなど身近なところで使われています。
電波は、その周波数によって伝わり方など性質が異なります。本研究室では、およそ1GHz から 100GHz の範囲の電波を扱っています。これらの電波は一般にマイクロ波あるいはミリ波と呼ばれており、その波長が短いため、特定の方向へ細いビーム上に送ることができるなど、興味深い性質があります。また大気中の酸素ガスや水蒸気によって吸収されやすく、遠方までは届かないという性質も持っています。
現在 本研究室では、ミリ波をレーダーや通信に利用するための研究に力を入れています。
ミリ波帯における各種誘電体材料の特性を解明する研究
誘電体材料としては、プラスチックやセラミックスなど さまざまな物があります。この中から、ミリ波の電波をその中によく閉じ込め、かつ損失の少ない材料を見い出すこと、またその性質を知るための計測方法の開発や材料特性の温度依存性などを研究しています。
当研究室で研究している主な材料評価方法としてウィスパリングギャラリーモード誘電体共振器法と遮断円筒導波管法があります。
遮断円筒導波管法に関連した研究成果を新聞等で取り上げていただきました。
”材料評価用空洞共振器”, 日刊工業新聞, 2010年11月19日, 朝刊, 24面
”高域電磁波で材料測定 共振器を開発”, 下野新聞, 2010年12月4日, 朝刊, 13面
”「世界初」100ギガヘルツ超材料評価用空洞共振器”, 科学新聞, 2011年1月14日, 朝刊
ミリ波帯実用化を目指した回路設計技術の研究
携帯電話や無線LANといった大勢が使用している電波資源(周波数帯)は、余裕がなくなってきました。そこで、扱い難いために、ほとんど未利用であった周波数帯(ミリ波帯)を利用可能にする技術が必要になります。また、ミリ波を上手に使うことで、これまで以上に高性能な無線システムが実現できます。それらシステムに欠かせない各種ミリ波回路設計やSi CMOS高周波回路に関する基礎技術やそれらMMIC実装方法に関する研究をしています。
金属をできるだけ使わないミリ波用回路の研究
ミリ波の電流を金属の導線を通して送ろうとすると大きく減衰してしまい、数cmの距離でも送るのが困難です。一方、一部の絶縁体材料(誘電体)はミリ波に対する損失が非常に小さいことが分かりつつあり、金属部品をこの誘電体で構成された部品に置き換えることで、損失が少なく効率の良い回路を構成することが可能です。
本研究室では、ミリ波通信への応用を想定して、誘電体からなる回路素子開発および回路構成に関する検討を行っています。
マイクロ波~ミリ波・光波融合技術に関する研究
近年、通信回線の高速化が進み、一般家庭においても光ファイバー網を用いた大容量通信が可能になっています。
また、スマートフォンの登場によりユビキタス通信網が実現しつつあります。さらに、今後も大容量情報伝送へのニーズがますます高まってくると期待されています。
当研究室では、有線系通信網の主流である光ファイバー通信網と無線通信網を融合するための技術のひとつである光変調器に関する研究を行っています。
電磁環境の計測技術と遮蔽・吸収材料の研究
私たちの身の回りの空間には、非常に多くの電波が飛び交っています。
本研究室では、電磁環境の計測方法や、電波を遮蔽したり吸収したりする材料の研究を行っています。
研究設備
ネットワークアナライザ (110GHzまで対応可能)
ベクトルネットワークアナライザ 2台
スカラーネットワークアナライザ 3台
電磁界シミュレータ&ワークステーション
Ansoft HFSS Ver.11 1台
ムラタソフトウェア株式会社 Femtet 2台
COMSOL Multiphysics 1台
NI AWR 設計環境ソフトウェア 1式(教育用)
(Microwave Office, Visual System Simulator, AXIEM, Analyst)
VDEC 各種設計CAD用ワークステーション 1台
Agilent Technology EMDS 1台
Remcom xFDTD 1台
試験環境
プローブステーション NPS MTF-150S
高精度恒温恒湿室 アイテックスCSC-K425型
小型環境試験器 ESPEC SH-242
小型高温チャンバー ESPEC STH-120
卓上型除振装置 明立精機 AVT-0605N
極低温恒温槽
真空チャンバー
超音波ドリル
旋盤・フライス盤
ボール盤
PCBカッター
ハンダステーション
その他
実体顕微鏡
微動ステージ各種
自作FDTDシミュレータ
自作回路シミュレータ
電気学会 電子デバイス研究会 第4回公開研究会(2015/06/05)
宇都宮大学 陽東キャンパスで開催された電気学会電子デバイス研究会 第4回公開研究会(協賛:電気学会「電磁波応用の新展開を加速する革新技術」調査専門委員会)にて、M2 土屋君、M2 山田君、M1 磯辺君、M1 稲田君、社会人Dr 田中様の計5名が研究成果発表を行いました。
発表題目は、それぞれ「空洞共振器法を用いた中損失誘電体材料のミリ波複素誘電率測定-薄型試料による検討-」、「遮断円筒導波管法を用いた中損失誘電体材料のミリ波複素誘電率測定-測定系に関する検討」、「イットリア安定化ジルコニア平板の20GHz帯における複素誘電率測定と結晶構造測定」、「丸棒誘電体試料のミリ波複素誘電率測定用TM0m0モード円筒空洞共振器の設計」、「2重モード誘電体円柱共振器を用いたデュアルバンドフィルタ」でした。
M2 土屋君、山田君は、すでに複数回のの発表を行っているベテランです。2名とも堂々と発表していました。一方、M1 磯部君、稲田君は、学会発表デビューでした。練習を一生懸命を行った感が伝わってきました。全員質疑はまだまだなところがありましたが、今回を良い経験として更なるスキルアップを目指してください。
その後、場所を移してのアフターミィーティングでは、夜遅くまで白熱した様々な議論が行われたようです。
参加者の皆様、お疲れ様でした。